負担転嫁ではなく政策転換を
福島第一原発の廃炉費用などのために新たに8.3兆円を国民に負担させる形で政府が調整に入ったとの報道が、新電力・消費者に衝撃を与えました。
事故の責任があいまいなまま、また原子力政策の見直しを伴わない国民への負担転嫁は、新電力事業者や国民を説得できるものではありません。
福島第一原発事故の賠償・被害最小化を最優先として、東京電力の責任を明らかにし、莫大な費用がかかることが明白となった原子力発電については、これまで利益を得てきた事業者が責任を持って安全な廃炉に向けた対策を取るべきです。
経済合理性を欠く原発を、維持を前提として国民負担で支えることは、電力自由化の理念にも反し受け入れられるものではありません。
1.事故の責任があいまいなままに、国民負担は許されない
東京電力福島第一原発事故については、東京電力に一義的な責任があるとされながらも、原子力他の電力会社と政府が賠償費用を支援しています。東京電力が責任を取っているとは言えない一方で、東京電力の2015年度の営業利益は3400億円を超えています。
一民間企業の起こした甚大事故について、企業を事実上「救済」しながら国民負担を求めることについて、倫理的にも経済的にも、理解を得られるものではありません。
2.「原発の事故費用・廃炉費用は莫大」明らかに-政策変更なき国民負担は許されない
2014年の「エネルギー基本計画」をはじめ、各電源のコスト検証において、原子力については、事故処理・賠償費用を勘案してもなお、「コストが低廉な電源」と位置づけられてきました。
しかし今回、東京電力福島第一原発事故の廃炉・賠償費用は東京電力だけでは負担できないこと、また他の原発の廃炉費用も、原発を保有する電力会社では支払いきれないことが公にされたと言えます。
そうであれば、まずは新規原発の建設可能性について撤回し、また既存の原発の廃炉も早急に検討する方向で、具体的に政策転換を行うべきです。
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