油、再び届ける日を
東京電力福島第一原発事故で、原則立ち入りが禁止されている帰還困難区域。昨夏、原発から約3.5キロ離れた福島県双葉町の国道6号沿いで、1軒のガソリンスタンドが営業を再開した。明治創業の「伊達屋」。再開後、初めての冬を迎えた。【写真1】従業員たちは、「寒さを通り越して痛い」と口をそろえる。
東日本大震災前、冬の売り上げのほとんどは、地域の人たちが暖房などで使う灯油の配達だった。全町民が避難を続ける現在、灯油の販売をやめ、店の売り上げは震災前の3分の1にとどまる。5代目の店主、吉田知成さん(42)は、「灯油を配達する日はいつになるのやら」とこぼす。
一方で、同区域内では、中間貯蔵施設の建設工事や、常磐道の双葉インターチェンジ(仮称)など大規模な工事が進み、今は現場への燃料配達が売り上げの8割を占める。【写真2】
工事現場への通勤に使う車にも給油できるよう、日没後も営業。【写真3】吉田さんは、「この町に縁の無い人たちも来て、工事をしてくれている。しかも、ほぼ単身赴任で。地元だって頑張らないと」と力を込めた。
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