チェルノブイリより (25)
読者のみなさま(2) 2012年5月4日 作成者: 北陸医師の会
最後に、現在福島の被災地で過ごしていらっしゃる方にお話しなくてはいけません。ここに書かれていることが、福島でそのまま起きるとは全く考えていません。フクシマ原発事故では放射性降下物は西風のため大部分が太平洋に落下しました。一方、チェルノブイリはユーラシア大陸の内陸部に位置していたので、ほとんどが人々の住む大地に降り注ぎました。風の方向と、立地条件によって被害状況が左右されるということです。
そして、食べ物や飲み物も日本とは異なりました。経済的な理由で汚染された物を食べざるをえなかったという事情もあります。チェルノブイリではその点の注意が十分ではなかったようです。ただ、チェルノブイリから遠く離れたヨーロッパでも健康被害が報告されています。もし、これが事実だとすれば、念のためにできる限りのことをされることをお勧めいたします。たとえば、高濃度汚染地域には決して近づかない、食物・飲み物はなるべく汚染されていないもの購入する、小さいお子さんや妊婦さんはできれば離れた地に避難される、などです。
私たちは、この翻訳がみなさまにご迷惑をかけるのではないかと心配し、ネット配信を控えるべきかとも考えました。しかし、チェルノブイリ級の大惨事になれば、これだけのことが起きるのだという事実を、国民全員に知っていただくことも大切と考えました。もしも、福島の人々の幸せを考えずに、遠くから無責任なことを言っていると思われましたら、それは私たちの不徳の致すところで、申し訳ありません。
どなたにも健康被害が生じないことを心より祈っております。
ドイツ放射線防護協会 核戦争防止国際医師会議ドイツ支部 「チェルノブイリの健康被害」より
【チェルノブイリより】毎週木曜日に掲載します。
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