あの時を心に刻む (78)

3ヵ月遅れの保育所修了式
地震に襲われたのは修了式の練習をした日だった。その後子どもたちは、全員無事に保護者の元に戻すことはできたものの、避難のためばらばらになった。修了式ができない まま……。
「ちゃんと修了させてあげたい」という保育士らの思いがつながり、6月、子どもたちが再会して3カ月遅れの修了式が行われた。 担任だった保育士が一人ひとりの名前を読み上げる。「すると次に呼ばれるなという子がじっと私の顔を見ているんですよね。それが修了式の練習をやったときの子どもたちの顔と重なって、ああ覚えていてくれたんだなと本当に感動しましたね。こういう仕事をしていて良かったなと」。
やっと修了させてあげることができた。本来ならその同じ友だち同士、幼稚園に行けたはずだったのに……。でも、子どもたちは順応性が高いから、そのあとの環境にもきっと順応してくれるだろう……。そう自分に言い聞かせた保育士たち。感動の中、複雑な思いも入り混じった修了式だった。
富岡町 「東日本大震災・原子力災害」 の記憶と記録 2011.3.11-2014.3.3 より転載
【あの時を心に刻む】
日本中が恐怖に震えた福島第一原発事故
もう二度とあんな事が起こらないように
祈りを込めて
毎週火曜日に掲載します。
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