「準備宿泊」開始の福島・大熊町 (2)
東京新聞5.06 望郷…「やっと帰れた」 64歳男性、愛犬と自宅へ
集落を回り、準備宿泊中の住民に、一人だけ出会った。避難先の福島県南相馬市から大川原地区の自宅に戻った井戸川清一さん(64)。窓の外を見つめながら「あの頂上からの眺めがいいんだ。町が一望できて。やっと帰ってこられた。やっぱり空気が違う」。
家の前の山は幼い頃に遊んだ、なじみ深い場所。近所で町に戻る準備をする人はほとんどいない。自身も南相馬市に家を建てたが、故郷への思いはやまず、戻ることを決めた。半壊した自宅を昨夏、建て直した。
一緒に避難した父は昨春、八十九歳で他界した。今は土木の仕事を引退し、愛犬マルコと「一人と一匹」の生活。隣の富岡町のショッピングモールまでは車で十五分ほどで、食料品や日用品は事足りる。車を運転できるうちは暮らせる。
「散歩中に会うのはイノシシばかり。でも、ここは避難先と違って、気兼ねなく普通の暮らしができっから、いいんだ」
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