お母さんの安心の涙
たらちねでは2013年から、福島県内外で「出張甲状腺検診」を行っております。これまで、延べ1万人を超える方が検診を受けられました。この出張甲状腺検診では、全国各地の先生にご協力をいただき、各会場にお越しいただいております。
先月6月30日(土)、宮城県白石市では、北海道がんセンターの医師、小野寺俊輔先生による出張甲状腺検診が行われました。
今回は、ご協力いただいた小野寺先生にインタビューをしました。
――先生が、たらちねの甲状腺検診に協力しようと思われた経緯を教えてください。
震災直後から、放射線治療医として自分にできることはないかと考えていました。当時は私自身が大学院生であったこともあり、思うに任せないところがありました。しかし、大学院が終了した翌2013年、西尾先生の退官記念パーティーの際に、先生が甲状腺検診を行っているとお聞きし、2014年、以前所属していた北海道がんセンターへ縁あって戻ることができた際に、検診のお手伝いができないかと相談したことが契機です。
――検診で、 印象に残っている出来事はありますか。
2014年の秋頃にお手伝いに伺った際、幼いお子さんを連れたお母さんが、検診結果の説明を聞いて、安心の涙を流していたことがありました。当時、幼い我が子をなぜあの場所に連れて行ったのか、福島の地にとどまったのかと自責の念に駆られていたお母さんの、人には言えない苦悩を見た思いがしました。
――検診で特に注意すること、気をつけていることは、どのような点ですか。
検診の際に説明をする相手は、通常、検診を受けている本人です。しかし、甲状腺検診の場合、その対象は親御さんになります。大丈夫なことは大丈夫、注意すべき場合には正直にそのようにお伝えし、検診を受けているお子さん自身もそうですが、ご両親に納得いただくことを特に大事にしています。
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