<福島第1原発事故>80キロ圏、線量10分の1に 自然減衰や除染効果
日本原子力研究開発機構は10日までに、東京電力福島第1原発の80キロ圏内にある道路周辺の放射線量が2011年から17年までの6年間で10分の1程度に低下したとする調査結果を学会で発表した。放射性物質の自然減衰に加え、除染の効果があったとみられる。ただ除染が行われていない帰還困難区域の線量低下は、8分の1程度だった。
機構は11年6月以降毎年、福島県と茨城県、宮城県の一部が含まれる原発の半径80キロ圏内で、車両に放射線測定器を載せて国道や県道を年間2万キロ以上走行し空間線量を測定。
11年の調査では、原発の北西方向に放射性セシウムの拡散を確認した。毎時3.8~9.5マイクロシーベルトの地域が広がっており、帰還困難区域には19マイクロシーベルトを超える道路もあった。
17年の調査では、避難指示区域外の線量が10分の1程度に低下した。除染や雨で放射性物質が流されたことなどが原因とみられる。自然減衰などによって、帰還困難区域でも19マイクロシーベルト超の道路は確認されなかった。
国は第1原発事故後、除染の長期目標を年間1ミリシーベルトとしている。1時間当たりの線量に換算すると、毎時0.23マイクロシーベルトとなる。
機構の安藤真樹モニタリング技術開発グループ研究副主幹は「道路周辺の線量変化を予測し、将来の住民帰還につなげたい」と話した。
今回の調査には、除染されておらず比較的高い線量の森林地域は含まれていない。
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