あの時を心に刻む (111)
不安と混乱の中での“小さな自治” (3)
小さい避難所で数十人、大きい所で1,000人を超える避難者に、職員だけで目を配るには限界があった。ある職員にとって最も気がかりだったのは、持病の薬も持ち出していない人が多い中での体調管理。避難する町民の中に医療関係者を見つけ、「目の届く範囲でいいから、異変に気づいたら教えてね。助けてね」と声をかけた。
避難所によっては、町の消防団員が職員に代わり夜間の避難者対応や受付を担い、地域の住民は「乳幼児だけでも」と自宅の風呂を開放したり、野菜や米など食材を提供したりしてくれた。食材は避難先施設にあった調理室を使うなどして、町民が主体となって温かい食事を作った。施設内の見回り、ゴミの片付け、掃除……。
「避難者同士が協力し合い、小さな自治のようでした」と話す職員は、手が回らなかったポットのお湯を、知らない間に替えてくれていた町民に今も感謝している。ままならない避難生活の中で小さな気遣いが避難所の運営を助けた。
【あの時を心に刻む】
日本中が恐怖に震えた福島第一原発事故
もう二度とあんな事が起こらないように
祈りを込めて
毎週火曜日に掲載します。
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