あの時を心に刻む (37)

ビッグパレットふくしま避難所 (8)
スムーズにいかない避難者情報。 たとえば、Aさんがここにいるが、個人情報がらみでそのことを発信できない。Aさんの安否を確認しようとしている人は手間取るだろう。Aさんを探している人が来た場合は、町がAさんの情報を持っているなら、相手の人の携帯番号など連絡先をあずかってAさんに「こういう方が来ているので連絡をしてあげてください」とつなぐのだが、この手間も、もどかしかった。
その携帯電話の力の大きさがあらためて認識された避難でもあった。しかし高齢者では持っていない人も少なくなかった。いざ持とうと思っ ても、着の身着のまま避難したため、 必要な印鑑がないなどでなかなか購入できない。それでもなくてはなら ないと、借りたハンコで携帯を買ったという人もかなりいたようだ。
家族同士でもまだ安否確認ができず、探し続 けている混乱の最中だ。その混乱のさ まざまな狭間に置き去りにされる人を、いかに見落とさず、助け出し、支援できるか。そのためにも、まずここに避難している人をしっかりと把握し、外で心配 している人につないでいくこと。瀬戸際での知恵が試され続けた。
富岡町 「東日本大震災・原子力災害」 の記憶と記録 2011.3.11-2014.3.3 より転載
【あの時を心に刻む】
日本中が恐怖に震えた福島第一原発事故
もう二度とあんな事が起こらないように
祈りを込めて
毎週火曜日に掲載します。
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