当たり前じゃないことが当たり前になった
子ども脱被ばく裁判のブログ Aさんの口頭弁論より抜粋
私は福島市で産まれました。そして今も尚、福島市で子育てをしている3児の母です。子供は、小4、年長児、1 歳の男の子です。
震災当時、私は、放射性物質、放射能の影響等に対する知識は、全く有りませんでした。周りからの聞きかじりで、「外出時にはマスクを着ける」とか「ホットスポットには近づくな」等と、子供達に言い聞かせていました。
しかし、小さな子供達には、ホットスポットがどう言う所に有るのかなんて解る筈有りません。「水溜りはダメ」、「家の裏の方に行ってはダメ」、「土触っちゃダメ」、「草むしっちゃダメ」、「花を摘んではダメ」。そんな「ダメダメ」を言うしか無いんです。それが子供達を護る為だと思っていました。
何も知らされず、何の正しい情報も無く、何の知識も与えられなかった親達は、只ひたすらに、子供達を護る為に必死だったんです。
でも、おかしくないですか?「外で遊ぶな」、「水溜りも草むらも土遊びもダメ」、「虫捕りも魚捕りも花摘みもダメ」。子供達にとって、その時その時の「今しか出来ない事」と言うものを全部「ダメダメ」と言う事。
男の子なんて泥んこになって虫捕りや水遊び。服や靴なんてドロドロに汚してくるのは当たり前の事。そうして行く中で自然の中から色々な事を見つけて、考えて、成長して行く事だって有ると思います。
以前、次男が(「この花の蜜って甘いんだよ」と言い、草むらの花を摘みました。でも私は咄嗟に「吸っちゃダメ」と次男の手を払ってしまいました。その時の息子の顔は、なんて悲しい顔だったでしょう。今でも忘れられません。
そして昨年、県外の公園に遊びに行った時に息子は、「ここの花は放射能付いてないね」って言ったんです。そんな胸が張り裂けそうな悲しい親子の会話。それが福島の日常なんです。
普通の子供達の(「当たり前」が福島の子供達にとっては「当たり前では無く」、普通の子供達にとって「当たり前じゃない事」が福島の子供達にとっての「当たり前」なんです。
コメント
この記事へのトラックバックはありません。
この記事へのコメントはありません。