母子避難 5年の軌跡 (2)

原発事故さえなければ、ごく普通に暮らしていたはずの母親からの訴え (2)

原発賠償関西訴訟 第9回口頭弁論期日での原告意見陳述 森松明希子 6月2日 大阪地裁

母子避難を決心するまでの2ヶ月間は、
地震直後の混乱の中、
パニックを起こさないように、ただひたすら
「収束するから」「復興」「がんばろう東北」の言葉を信じて、
とても違和感のある生活に耐えていました。

「健康に直ちに影響はない」と繰り返すばかりの当時の官房長官の言葉とは裏腹に、
子どもたちを一切公園には出さず、長袖長ズボンで外出時はマスクを着用させていました。
外遊びをさせない、洗濯物を外に干さない、窓は開けない。
このようなことが当たり前となっていき、
とても普通の暮らしを送れる状況ではありませんでした。

週末が来れば、家族で車に乗りこみ、
隣県の山形県や新潟県まで高速道路をひたすら走り、
普通の町中にあるようなブランコや滑り台のあるだけの公園を見つけて
小一時間ほどそこに3歳児を降ろして遊ばせて、
また何時間もかけて福島に戻ってくる。
そんなおかしな生活を続けていました。

私の住んでいた郡山市は、
福島第一原子力発電所からは60キロメートルほど離れていますが、
当時は同心円上に避難指示、屋内退避命令などが広げられていき、
徐々に汚染地域が広がっていく恐怖に怯える毎日でした。

それでも国は、
より危険な地域から
順次、人を避難させてくれるものだと信じていました。

私が一番衝撃を受けた出来事は、
避難所で、1ヶ月近くたとうとするころ、
テレビのニュースで
「東京の金町浄水場から放射性物質が検出された」
との報道でした。

福島第一原発から200㎞も離れている東京で放射性物質が検出されて、
60㎞の郡山の水が汚染されていないはずはありません。
実際、翌日には
福島市や郡山市などの水も汚染されていると報じられました。
しかし、報道がなされても、
地域住民全てにペットボトルの水が行政から配られるわけではないのです。

この国の多くの人が、
福島原発事故により水道水が放射能により汚染されたという事実を知っています。
しかし、私たち周辺地域の住民が、
放射性物質がたとえ「身体に直ちに影響はない」程度であるとはいえ、
放射性物質が検出された水を飲まざるをえない状況に追い込まれ、
それを飲むという苦渋の決断をしたということは知られていません。

また、その水を飲んだ母親の母乳を赤ちゃんに飲ませるという
過酷な決断を迫られたことも知られていません。

あの時、どれだけの放射線を浴びたのかも分からない上に、
私たちは汚染された水を飲み、たとえ直ちに影響はなかったとしても、
一生涯、自分や子どもたちに出てくるかもしれない健康被害の可能性と
向き合っていかなければならないという現実があるのです。

それは、「不安」だとか「心配」とか、
そのような軽微な形容で言い表されるものではありません。

「被ばく」は事実であり、
被ばくが健康に悪影響を呼ぼすということも否定出来ない事実です。

私たちは、「被ばく」による健康影響という「恐怖」と、
あの日から向き合わされ続けているのです。

 

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≪せいぶらいふあくしょん≫  

2013年11月、若者3人とおやじで始めました。現在、たくさんの方に参加・協力、応援いただいてます。(*^_^*)

light(明るい、軽い) で、 たのしく 無理なく、対話を通してface to face(顔の見える関係作り)を進めます。 

この横断プロジェクトは特定の団体に属さない非営利の市民活動です。

福島第一原発事故を教訓に、放射能から身を守り、脱原発を願う人たちとあらゆる思想・信条を超えてつながります.

≪活動内容≫    2016年9月現在

 1) 原発事故による放射能汚染や健康被害の存在をより多くの市民に知ってもらう→「気づき」の場
 2) 若者への原発/放射能情報発信、学習会 保養キャンプへの若者参加のコーディネートなど
 3) 食の安全ネットワークの構築→「交流・対話」の場 あんふぇす(食の安全フェスタ)の実施
 4) 被災者、避難者の人権擁護
 5)被災地の様子を伝え、原発事故が招く災害情報を正しく読み解く(メディアリテラシー)
 6)原発事故に由来する人権学習、環境教育、放射能防護教育、食育の推進

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