チェルノブイリより (18)
【チェルノブイリ報告】~下~ 原発30キロ圏内に暮らす「サマショール(帰って来た人たち)」
筆者らが訪れた日は東京の冬を思わせる寒い日だったが、ヴラジミールさんは半袖だった。=チェルノブイリ
サマショールはほとんどの食料を自給している。バレンティナさんの畑でも、じゃがいも、玉ねぎ、キュウリなど何でも作っている。魚は近くの川から、きのこも山から取ってくる。
「放射能の汚染は心配ないのですか?」。
「畑の土は87年に検査した。きのこも魚もどんなものが悪いか分かるようになったから大丈夫」。
30キロ圏内で森への立ち入りは禁止されている。「放射能マーク」の立て札が至る所にある。その森から採れるきのこが汚染されていないとは信じがたい。
ガイドの説明では、30キロ圏内の食品は厳重な管理下にあるとの事だった。十分とは言えない年金で食料をすべて買う事はむずかしい。何よりも、大地の恵みを存分に受けて生きて来た彼らから、その生き方を奪う事は出来ないのだ。
家の外には薪が山積みされていた。「薪割りは重労働だよ」とヴラジミールさんは苦笑いした。隣の男性は国家非常事態省の出先機関「チェルノブイリ・スペッツ・コンビナール」のガイド。
田中龍作ジャーナルより転載させていただきました
【チェルノブイリより】毎週木曜日に掲載します。
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